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個別記事の管理2007-02-01 (Thu)
逝きたくない


死にたくないー







「ちくしょう…」












ふっと意識を失った月が次に気がついたときには、真っ白な世界に横たわっていた。

ここはどこだ?

なんだか体が軽い…

眠い…

そのまま任せて目を閉じようとしたとき、








「お久しぶりですね、月くん」

「…!竜崎…?」

「はい」


忘れかけていた懐かしい声が聞こえてきたと思ったら、
しゃがんで親指を咥えながら月の顔を覗き込んでくる竜崎と目が合った。
ここに竜崎がいるということは、死んだのだろう。
でもリュークは、天国にも地獄にも行けないと言ってなかっただろうか。
まぁリュークのことだから、本当かどうかよく分からない。



「久しぶりだな…っ」


右手を動かそうとしたが力が入らない。
痛みも感じない。

そんな月を竜崎は変わらない真っ直ぐな瞳で見続けている。


「無様だろう…」

それに竜崎は何も答えず、おもむろに骨ばった手を月の真っ赤に染まった右手に伸ばして触れた。
不思議と波のように暖かさが広がって、力を入れてみると竜崎の手を握るかたちになった。


「お疲れ様でした、月くん」


竜崎のその言葉に頭がぼーっとして、目頭がジワジワと熱くなる。
途端に涙が溢れてきた。
死んでも感情は残るらしい。


初めてデスノートで人を殺したときも…いや物心ついたときから泣いた覚えはない。
…父が死んだときぐらいだろうか…
月はいつも完璧でないといけなかった。
というより、月自身が負けず嫌いで成績もテニスも、何でもトップでないと気がすまない性質だった。
「勉強しなくても賢い人はいいね」などど、羨望からか嫉妬からか周りからいつも言われていたし、
いつでも余裕を装ってはいたが、実は並々ならぬ努力をしていたのだ。
全国模試で一位をとるのはそう簡単ではないだろう。
まぁ例外はいるだろうが…しかし世紀の名探偵L、天性の才能を持っている者でも少しの努力なしであそこまでいけるとは思えない。
月にとって自分が1番であり続けることは、最初は自己満足だったろうが、
いつからか自分でも気づかないちにプレッシャーになっていたのかもしれない。
“自慢の兄”で居続けなければならない。
家族にすら弱みを、涙を見せたくなかった。
そんな月が人前で泣くなんて。
それも、竜崎の前で。


「なんですか、月くんらしくない。これでは張り合いがありません」

「はは…竜崎は変わらないな」


真っ黒で真摯な瞳も、変な座り方も、癖も…
あの時のままだ。


「僕を恨んでるよな…竜崎は……」


レイ・ペンバー、南空ナオミ、高田清美…デスノートに名前を書いてきた者の顔が浮かぶ。

こんな言い方は、まるで恨まないでと言っているような気がして、虫がいい考えに自嘲気味に笑う。


「はい」


当然のその答えに、月は竜崎の手を握っていた右手を緩め、逃げるように竜崎から目を逸らした。
それでも竜崎は月の目を見て言った。


「…正確には“キラを”ですが。
ヨツバキラを一緒に捜査していたときの月くんは、仕組んでいたとはいえ、月くんでしたから」

「…」

「月くんとの捜査は楽しかったです」


予想していた言葉とは違う、それよりもだいぶ柔らかな言葉が返ってきたことと、
人差し指を口に当てながら微笑む竜崎に、月の表情が少し柔らかくなる。


「それにやはり私は間違っていなかった。
死神がいなければ間違いなく私の勝ちでした」


と、口を尖らせて言う。
拗ねているようだ。


「が、負けは負けです」


自分が死んだ原因である月を目の前にしても怒りも罵りもしないLに、また涙腺が緩くなる。
そんな資格ありはしないのに。
今まで出していなかった分を一気に出しているんだというように、ポロポロと零れ出す涙。
この場所のせいだろうか。
それとも、竜崎がいるからだろうか。







続く




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